わたしは笑うことを忘れていた。
うつ病診断を受ける少し前から、あんなにテレビっこだったのに見るのが苦痛になった。雑音がしんどいのもそうだが、今まで見ていたバラエティが全然面白いと思えなくなっていた。
接客するときはマスクをしているので目を細めてさえいれば印象は悪くない。家ではベッドにうつ伏せになり真顔。完全に死んだ顔をしていただろう。
きっかけは娘の推し変
娘は高校1年生。わたしのおたくの遺伝子を良いところだけ受け継いだ最強のJKだ。
うつ病の母のことをなんだと思っているんだというくらい今まで通り強気に接してくる。手伝って欲しいときも助けて欲しいときも、彼女の気分次第。今となっては普通にしてくれてよかったと思っているけれど、本当にひどい娘に育ててしまったと当時は思った。
そんな娘の推しの芸人さんが変わった。いわゆる推し変。わたしも名前と顔は知っている漫才師だった。前に一度紹介したときは見向きもしてくれなかったのに、さも自分が見つけたように嬉しそうに話してくる。
わたしがそうだったように劇場に通いだすのかな、そんな矢先、世界はコロナ禍となりステイホーム、ステイホームと呪文のように呪いをかけられた。
コロナ禍を逆手にとった経験値
娘は平日毎日更新されるYouTubeを半強制的に見せてくる。
それが【ラニーラニーラニー】だった。
ラニーノーズという音曲漫才師(Runny Noizeというバンドもやっている)と大村ジーニアスという同期のピンの芸人の3人でやっているYouTubeチャンネルだ。
昨今はYouTubeをやっている芸人なんて腐るほどいるが、彼らは5年以上のキャリアがあった。そんな頃から本業以外にしっかり取り組んでいた。それがコロナ禍で舞台に立てなくても、YouYubeという場所があることが強みになるなんて誰も想像していなかっただろう。
で、大村ジーニアスって誰?
平日は更新した動画を、それ以外は過去の動画を見させられた。ラニーノーズのチャンネルだから【ラニーラニーラニー】。それはわかる。でももう一人、いつも出てくる男は誰なんだ?(しかもメイクしている時がある)
違和感しかなかった。(ジニさんごめん。)
でもずっとずっと見ているうちに、実は彼が一番面白いことに気づいていく。持ち前の明るさと、絶対負けるのに全力でゲームに取り込む姿、罰ゲームも楽しそうに受けるところ、天然なのに自分はできる!賢い!と思ってるところ、そして本当は本当に賢いところ。
声を出して笑っている自分にハッとする。(え、笑ったのひさしぶりかも)
どんな薬よりも笑うことは特効薬になる
【ラニーラニーラニー】を見るようになって、笑うことを取り戻してから、気持ちが楽になった。うつの症状が0になることはないけれど、楽しみを見つけること、声を出して笑うことはかなり効果があると思う。
このチャンネルがすべてのうつ病で苦しんでいる人に効果がある訳ではないのは重々承知だ。でも1度見てみて欲しい。そしてこれじゃないと思っても、そこから関連動画や何かしら検索して興味がある動画を漁ったりしてみて欲しい。横になって、少し余裕があるときに。クスッと笑える何かを探す旅をしてみて欲しい。
で、大村ジーニアス推しになるのはまだまだ先の話だった件について
今となっては大村さん推しといえばわたし。と胸張って言える大村さん担だ。でもこの頃、実はラニーノーズの山田さんの方が全然好きだった。頭の回転の速さ、賢さ、ちょっと変な思考と生活習慣が好きだった。ただ親子同担禁止タイプの娘には絶対口が裂けても言えず。黙って見てた。
ここからどう大村さん推しになったかはまた別の機会に。そしてこの記事の中に1度も名前が出てこなかったラニーノーズの洲崎さん、ごめんなさい。補足しておくと、ハチャメチャな山田さんと大村さんをしっかりツッコむのが洲崎さんの役割です。(あ、やっぱり雑になったな、ごめんね洲崎さん)